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【氷室冴子青春文学賞応募作】 新山幸瑠と斎藤井澄は付きあっている、ことになっている。 「付き合っていることにしよう」と井澄に提案されたのは高校一年の冬。承諾したのは寒かったから。 伊澄は幸瑠の兄に片思いをしていた。幸瑠は兄に恋をする伊澄に特別な感情を抱いていた。――それが恋とは呼べないと分かっていた。 三年生となって大学受験を控えた頃、後輩の杜松陽子が幸瑠の兄と付き合い始める。一方で幸瑠に想いを寄せる後輩、三森圭一は幸瑠らに「先輩方は本当は付き合ってないですよね」と問い詰める。 正しい恋って何？　 恋をしているわけじゃない。けれど、寂しさを埋めたいと思うのはいけないことだろか。