017/ひとりになれる夜

入院中、僕はあえて昼夜逆転していたことがある。
眠剤が効かないとか不眠とかではなく、昼間に寝られるだけ寝て、夜中起きていた。

昼間は、他の患者たちの声がした。
楽しそうに談笑する声。怒り狂う声。泣き叫ぶ声。
そういったものが怖くてたまらなかった。
幻聴すら混ざっていたと思う。
なので逃げるように昼は寝た。

夜。するのは道路を車が走る音だけ。
静かで、暗くて、世界でひとりぼっち。
なんて自由なんだろと心落ち着いた。
夜は、孤独という自由を与えてくれる。